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ジェンダー論 法学

年少者に対する性犯罪について

投稿日:2021年9月10日 更新日:

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 ・・・性的行為への同意可能年齢が低すぎるという議論はあるものの、年少者との性的関係が禁止されるべきであることは、ほぼ絶対的な同意を得ているところである。しかしここで言及したいのは、その根拠についてである。

 立憲民主党議員の「50歳と14歳が同意性交して、捕まるのはおかしい」という発言が取り上げられ、メディアやSNSでも話題になっていた。このような発言が年少者との猥褻行為処罰の趣旨を理解できていない誤った認識であることは、(「問題性を含むことは」:20220712更新)確認されたし、異論もない。

 しかし気になるのは、今回の話題に関連して、「そんなに14歳と性交したいのか」とか「50歳と14歳が猥褻行為をするのを普通だと思うのか」などという発言、見方が上がっていることである。このような言説は、年少者とのわいせつ行為を、社会常識から逸脱し倫理的に許されないものとして、道徳的見地から非難するものである。

 法規範には、道徳の規範と同一視されるものも多い。人を殺してはならないとか、借りたものは返さねばならないという規範は、法と道徳のいずれにも見出せる。しかし、たとえば交通法規が歩行者を左側通行にするか右側通行にするかは、道徳とは無縁であるし、国の機関の組織を定める法なども同様である。規範内容として、道徳とは無関係の法規範、処罰規定も存在する。

 では、年少者との猥褻行為の処罰は道徳的内容なのか、それとも道徳とは無関係の法規範であるのか。もちろん道徳規範であるという人もいるかもしれないし、立法されたときにも、そのような意識があったようにも思える。しかし私は、年少者との猥褻行為の禁止は、ある意味で道徳規範とは切り離して考えるべきものだと考える。

 刑罰法規として許容されるものは、我々の中の多数派の、今現在の常識や倫理観に則して、そこから逸脱するものを処罰するものである。そして我々の常識や道徳は、絶対的なものではなく変化するものである。かつては、道徳的な理由で同性愛者を罰する法も多くの国で受け入れられていた。これは、その社会の価値意識や常識で処罰対象を定めることの危険性を示す例である。つまり道徳性や常識を基準に処罰対象を定めるときは、その正当性には十分な検証が必要であり、年少者との猥褻行為に関して言えば、同意の上での(それが完全な同意と仮定すれば)年少者との性行為を、罰するに足るとする道徳的な理論構成は十分な正当性を帯びていないと考える。つまり少なくとも単純に、同意の上での年少者との猥褻行為は道徳的にゆるされない、とはいうことはできないと私は考えている。

 一方、年少者との猥褻行為を処罰するのには、違う視点から、真っ当な根拠付けをすることができる。つまり、年少者は判断能力が未成熟であるので性的関係に同意するに足る能力を有しない、という理由で、年少者との猥褻行為の処罰は十分に正当性を与えられるだろう。だからこそ、年少者との猥褻行為の処罰の正当性は、年少者の判断能力の未成熟を根拠に主張すべきなのである。そこに道徳的価値を含ませるのは相応しくない。もちろん「同意ができないものに性的関係を迫る大人」に対して道徳的な非難を向けるのは妥当であると考える。しかし多くの場合、「14歳と50歳が性行為をするのはおかしい」という言説には、年少者の同意の不完全さという観点よりも、年少者と大人が性的関係を持つことへの漠然とした嫌悪感や、そこに感じる異常性という意識が多く含まれているように思う。そのような意識はまさにかつての同性愛を罰した意識と同じものである。このことには意識的である必要があろう。

 つまり「14歳と50歳が性行為をするのはおかしい」という指摘をするとき、そこでは常に、同意の不介在の不当性というものが根拠になっていることに留意する必要があり、そのような検討を抜きにしたただ「異常だから」「おかしいから」という理由での非難は、自分たちの道徳意識を絶対的なものと捉える誤った認識に基づいていると考える。ある行為が罰せられると定められるとき、その根拠はどこにあるのか、そして自分の意見の根拠はどこにあるのか、これらの検討が重要であると、この問題においても感じる。

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  1. […] は、特定の性的趣向をもつものに対する差別にほかならないと考えるhttp://blog-rin-life.com/%e5%b9%b4%e5%b0%91%e8%80%85%e3%81%ab%e5%af%be%e3%81%99%e3%82%8b%e6%80%a7%e7%8a%af%e7%bd%aa%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6/ 。 […]

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